「至急、極秘の海外送金を。詳細はこのLINEで」
——出張中のはずの社長から、月曜の朝にそんなメールが届いたら、あなたはすぐに「偽物だ」と見抜けるでしょうか。

情報システムと総務を一人で兼任し、リソースに余裕のない中小企業のIT担当者ほど、この巧妙な手口の標的になりやすいのが実情です。

本記事では、急増するCEO詐欺の正体と、今日からできる対策をコンパクトに整理します。

この記事のポイント:

  • CEO詐欺は経営者になりすまし、緊急性で確認を省かせる詐欺
  • ウイルス対策ソフトでは防げず、業務プロセスの整備が鍵
  • Microsoft 365(以下、M365)の標準機能でなりすましメールを技術的に遮断

CEO詐欺とは?

CEO詐欺とは、攻撃者が社長やCEO・役員になりすまし、経理・財務の担当者に「至急の送金」を指示して不正な口座へ振り込ませる詐欺です。ビジネスメール詐欺(BEC)の一種で、次のような特徴があります。

  • ウイルスを使わず、正規のメールとして受信箱に届くため対策ソフトで防げない
  • マルウェアではなく「人の心理」と「業務プロセスの隙」を突いてくる
  • 2025年12月頃から国内で急増し、業種を問わず注意喚起が相次いでいる

被害は深刻で、東京都内では2025年12月以降の約1か月で14社が計6億7000万円をだまし取られたと報じられています。「近年はメールからLINEへ誘導する『ニセ社長詐欺』と呼ばれる手口も確認されています。」

CEO詐欺で騙されやすい3つの理由

「自分なら気づける」と思っていても騙されてしまうのは、攻撃者が人間心理を巧みに突いてくるからです。

  • 逆らえない空気:「社長の指示」という肩書きが、通常の確認フローをスキップさせる
  • 「急ぎ」と「秘密」:冷静に考える時間と、周囲に相談する機会の両方を奪う
  • 狙い撃ち:送金権限を持つ担当者を特定し、社長の出張時期まで調べて仕掛けてくる

決裁が属人化し、担当者が一人で抱え込みがちな中小企業は、まさに「確認しづらい組織」として狙われやすいのです。

CEO詐欺の対策|すぐできること+M365機能

① 今日からできる:業務ルールの整備

コストをかけず、ルールの徹底だけで始められる基本対策です。

  • 複数人承認の義務化:一定額以上の送金は必ず2人以上の承認を必須にする
  • コールバックの徹底:送金・口座変更の指示は、登録済みの番号へ電話でかけ直して確認する
  • 合言葉は「急ぎ・秘密」:この2条件が揃ったら、むしろ立ち止まる意識を全社で共有する

② Microsoft 365でできる:技術的に遮断する

M365を導入済みなら、なりすましメールを受信箱に届きにくくする仕組みを作れます。

  • SPF・DKIM・DMARC:送信元ドメインを認証し、自社になりすましたメールを弾く
  • Defender for Office 365:なりすましメールを検知し、警告表示や隔離を行う
  • スプーフィングインテリジェンス:検出したなりすまし送信者を確認し、手動で許可・ブロックできる

ただし設定は複雑で、誤検知とのバランス調整には知見が必要です。専任担当がいない場合は、設計から運用まで支援するパートナーの活用が現実的です。

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よくある質問(FAQ)

Q
ウイルス対策ソフトを入れていれば、CEO詐欺も防げますか?
A

ウイルス対策ソフトだけでは十分に防げません。CEO詐欺のメールにはウイルスや不正なリンクが含まれておらず、技術的には「正規のメール」として受信箱に届くためです。だからこそ、送信元を認証する仕組みと、送金時の確認ルールの両方が必要になります。

Q
小さな会社でも狙われるのでしょうか?
A

狙われます。攻撃者は会社の規模ではなく「確認しづらい組織かどうか」を見ています。決裁が特定の人に集中し、担当者が一人で判断せざるを得ない中小企業は、むしろ格好の標的になりやすいのが実情です。

Q
SPF・DKIM・DMARCは、自分たちだけで設定できますか?
A

設定自体は管理画面から可能ですが、いきなり厳格な設定にすると正規のメールまで届かなくなるおそれがあります。段階的に運用状況を見ながら調整する必要があるため、専任担当がいない場合は、設計から運用まで支援できるパートナーに相談するのが確実です。

まとめ

  • 経営者になりすまし、緊急性を理由に確認を省かせる手口
  • 2025年末から国内で急増している中小企業への被害
  • 送金の複数人承認とコールバック徹底による基本対策
  • SPF・DKIM・DMARCによるなりすましメールの技術的遮断
  • Defender for Office 365による検知精度のさらなる強化

CEO詐欺は「人の心理」と「組織の隙」を突く詐欺です。だからこそ、業務ルールの見直しとMicrosoft 365による技術対策の両輪で備えることが重要です。まずは自社の送金フローと、M365の防御機能の設定状況を確認することから始めましょう。

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