「現場スタッフの分まで、全員に同じライセンスを配って本当にいいのだろうか」
——ライセンスコストの見直しを任されたとき、こう感じたことはありませんか。
オフィスワーカーと現場スタッフでは、使う機能がまるで違います。それなのに一律で同じプランを割り当てていると、気づかないうちに毎月かなりのムダが生まれているかもしれません。
そこで検討したいのが「Microsoft 365 F3」です。
本記事では、F3の特徴と、F1やBusiness Basicといった似たライセンスとの違いを、価格も含めて整理します。
この記事のポイント:
- Microsoft 365 F3は、現場スタッフ向けに設計された低価格ライセンス
- F1・Business Basicとは「価格」より「用途」で選び分けるのが正解
- メール2GB・デスクトップ版Officeなしという制限の見極めが判断軸
Microsoft 365 F3とは?
自社に現場スタッフが多いなら、まずF3を選択肢に入れるのがおすすめです。
理由は、オフィスワーカー向けのフル機能プランより機能を絞り、現場の働き方に合わせて設計されているからです。
Microsoft 365 F3とは、シフト制で働く「フロントラインワーカー(現場スタッフ)」向けに用意された、Microsoft 365のプランです。
小売店のスタッフ、工場の作業員、倉庫の物流スタッフ、飲食店の従業員、介護施設の職員など、デスクワークが主業務ではない社員に適しています。専用PCを持たず共有デバイスを使う職場でよく選ばれますが、共有デバイスの利用が条件というわけではなく、個人のスマートフォンやタブレットで使う運用も可能です。
主な特徴は次のとおりです。
- Web版・モバイル版のWord・Excel・PowerPoint・Outlookが使える
- Teams(チャット・会議・シフト管理など)が利用できる
- Intuneによるデバイスの管理・保護に対応
- ユーザー数の上限がなく、規模を問わず導入できる
F3の「制限」を正しく理解する
F3を検討するなら、安さの裏にある制限を先に押さえておくのが大切です。
制限を知らずに割り当てると、現場から「使えない」という声が上がりかねないためです。
F3の主な制限は以下の3点です。
- デスクトップ版Officeが使えない:WindowsおよびMac用のデスクトップ版Officeは利用できません。Web版・モバイル版のみの利用となります。なおモバイルアプリでの編集は、画面の対角線が10.1インチ以下のデバイスに限られます
- メールボックスが2GB:日常的にメールを大量にやり取りする社員には不向きです
- OneDriveが2GB:個人ファイルを大量に保存する使い方には足りません
つまりF3は、メールや個人ファイルを大量には使わず、Teamsでの連絡やSharePointでの情報共有が中心の社員に向いたプラン、と言い換えられます。
F1・Business Basicとの機能比較
「フロントライン向け」で見るとF1・F3は近く、「低価格帯」で見るとBusiness Basicも並びますが、実は想定する働き方がまったく違います。中小企業で選択肢になりやすい3プランを整理します。
| 項目 | Microsoft 365 F1 | Microsoft 365 F3 | Business Basic |
|---|---|---|---|
| 想定ユーザー | 連絡・情報共有が中心の 現場スタッフ |
現場スタッフ | オフィスワーカー(〜300名) |
| Web/モバイル版Office | 閲覧のみ(作成・編集不可) | ○(作成・編集可) | ○(作成・編集可) |
| デスクトップ版Office | ✕ | ✕ | ✕ |
| メール | メールボックスなし | 2GB | 50GB |
| OneDrive | 2GB | 2GB | 1TB |
| デバイス管理(Intune) | ○ | ○ | ✕ |
| 主な役割 | Teams連絡・情報閲覧 | 現場業務+簡易な編集 | メール・Office中心の事務 |
3プランの違いを一言でまとめると、次のようになります。
- F1:メールボックスを持たず、TeamsやSharePointでの連絡・情報共有に特化した最安クラス。Web版Officeは閲覧のみで、作成・編集はできません
- F3:F1にWeb/モバイル版Officeの作成・編集機能などを追加。現場で簡単な入力や編集もする社員向け
- Business Basic:メール50GB・OneDrive 1TBを備えたオフィスワーカー向け。デスクトップ版Officeは付かないが、メールや個人ファイルをしっかり使える
コスト最適化の考え方:混合ライセンス
F3の効果を最大化するなら、全社一律ではなく「混合ライセンス」で考えるのがおすすめです。
社員の業務内容に合わせてプランを割り当てると、総コストを抑えられるからです。
混合ライセンスとは、社員の役割ごとに異なるプランを割り当てる運用方法です。事務中心の社員にはBusiness Basic以上、現場スタッフにはF3やF1、といった配分を指します。
- 連絡・情報共有が中心の現場スタッフ:F1
- 現場で簡単な編集もする社員:F3
- メール・Officeを日常的に使う事務職:Business Basic以上
ライセンスは基本的に「人」に割り当てるものです。シフトのたびに付け替えるような運用ではなく、社員の役割に応じて配分を決め、異動や職務変更のタイミングで見直すのが基本です。
誰にどのプランを割り当てるかの基準づくりと見直しの運用設計が欠かせず、ここを誤ると管理が煩雑になり、かえって手間が増えます。
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よくある質問(FAQ)
- QF1とF3は何がいちばん違うのですか?
- A
最大の違いはメールとOffice編集です。F1はメールボックスがなくWeb版Officeも閲覧のみ、F3は2GBメールとWeb/モバイル版Officeの作成・編集が使えます。簡単な入力作業があるならF3が向いています。
- QF3はBusinessBasicより安いのですか?
- A
必ずしも安いとは限りません。2026年7月の改定後はF3のほうが月額で高くなる見込みです。判断は価格差だけでなく、メール・OneDrive容量やデバイス管理の要否で決めるのが適切です。
- Q一部の社員だけF1やF3にすることはできますか?
- A
できます。社員ごとに異なるプランを割り当てる混合ライセンスが可能です。現場スタッフだけFプランにすれば、コスト最適化につながります。
まとめ
- Microsoft 365 F3は現場スタッフ向けに設計された低価格ライセンス
- デスクトップ版Officeなし・メール/OneDrive各2GBが主な制限
- F1はメールボックスがない最安クラス、Basicはオフィス向け
- F3はBasicより安いとは限らず、用途で選び分けるのが基本
- 混合ライセンスで役割ごとに割り当てるとコストを最適化できる
ライセンス選定は、導入時の重要な意思決定です。しかし本当に難しいのは、自社の業務実態に合わせて「誰にどのプランを割り当てるか」を見極めることです。自社の利用状況を棚卸しし、役割ごとに最適な構成を検討することで、ムダのないライセンス運用に近づけます。
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